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月1,000円で競合・市場モニタリングをAI自動化した方法|自社実践レポート

月1,000円で競合・市場モニタリングをAI自動化した方法

「AI活用を支援する会社が、自分たちはどこまでAIを使い倒しているのか?」——この問いに正面から答えるために、当社(株式会社BTNコンサルティング)が実際に取り組んだAI業務自動化の事例を公開します。

今回のテーマは「競合・市場モニタリングの自動化」です。毎朝30分かけて手動で行っていたニュースチェックを、Claude API + Python + GitHub Actionsで完全自動化しました。月額コストは約1,000円。構築の全過程をお伝えします。

なぜ「競合・市場モニタリング」を自動化したのか

当社はAI365(AI活用支援)と情シス365(情報システム管理支援)の2つのサービスブランドを運営する少人数のコンサルティング会社です。少人数だからこそ、業界の動きを常に把握しておくことが重要でした。

しかし現実には、以下のような課題がありました。

要するに、「情報を扱うプロ」であるはずの自分たちが、情報収集に追われているという矛盾を抱えていたのです。

作ったもの——朝7時にSlackに届くマーケットインテリジェンス

構築したシステムは非常にシンプルです。毎朝7時に自動実行され、34のニュースソースから記事を収集し、AIが要約・分類してSlackに通知します。

システム構成

使用したのは以下の4つの技術だけです。

モニタリング対象

34のソースを6つのカテゴリに分けて収集しています。

Slackに届くレポートの内容

毎朝Slackに届くレポートには、以下の情報が含まれています。

構築にかかった時間とコスト

3時間構築期間
約1,000円月額ランニングコスト
34ニュースソース数
0円インフラ費用

月額コストの内訳は以下のとおりです。

大企業が導入するマーケティングインテリジェンスツールは月額数十万円するものもあります。それと比べると、月額1,000円というのは中小企業にとって現実的な投資額です。

構築の流れ——3つのステップ

ステップ1:情報ソースの選定とRSS収集(1時間)

まず「何の情報が欲しいか」を整理しました。当社の場合は、AI業界の動き、Microsoft 365とGoogle Workspaceのアップデート、セキュリティインシデント、補助金情報の4領域です。

次に、各領域の主要サイトがRSSフィードを提供しているか確認しました。結果的に34のRSSフィードが利用可能でした。RSSを提供していないサイト(Anthropicの公式ブログなど)は、今後スクレイピングで対応予定です。

Pythonのfeedparserライブラリを使えば、RSSフィードの取得は数行のコードで実装できます。

ステップ2:Claude APIで要約・分類(1時間)

収集した記事をそのままSlackに流しても、量が多すぎて読む気になりません。そこでClaude API(Sonnet)を使って、以下の処理を行います。

  1. カテゴリ分類——AIニュース、SaaSアップデート、セキュリティ、補助金などに自動分類
  2. 要約生成——各記事を2〜3文に要約
  3. ビジネスへの示唆——「当社のサービスにどう影響するか」を1文で添える
  4. アクション提案——具体的にやるべきことがあれば提案

ポイントは、AIへのプロンプトに自社のビジネスコンテキストをしっかり含めることです。「中小企業向けAIコンサルティング会社」「Microsoft 365とGoogle Workspaceの活用支援も行っている」といった情報をプロンプトに含めることで、汎用的なニュース要約ではなく、自社に特化したインサイトが得られます。

ポイント:プロンプトにビジネスコンテキストを含める

「AIニュースを要約して」では一般的な要約にしかなりません。「中小企業向けAIコンサル会社のアナリストとして、当社ビジネスへの示唆を添えて要約して」と指示することで、実務に直結するレポートになります。

ステップ3:Slack通知とGitHub Actionsでの自動化(1時間)

Slackへの通知はIncoming Webhookを使いました。Block Kitでリッチなフォーマットにし、カテゴリごとにセクションを分けて見やすくしています。

自動実行にはGitHub Actionsを採用しました。毎朝7時(JST)にスケジュール実行されます。サーバーを自前で管理する必要がなく、設定ファイル1つで完結します。

実際の効果

定量的な効果

定性的な効果

構築で分かった「3つの学び」

学び1:RSSは今でも最強の情報収集手段

「RSSはもう古い」と思われがちですが、実はほとんどの主要サイトが今でもRSSフィードを提供しています。APIキーも不要、レートリミットもなく、無料で使えます。スクレイピングのようにサイト構造の変更で壊れるリスクもありません。

一方で、AnthropicやMeta AIのようにRSSを提供していないサイトもあります。こうしたサイトはスクレイピングで対応する必要がありますが、まずはRSSだけで始めるのが正解です。

学び2:AIの要約品質はプロンプト次第

最初は「以下の記事を要約してください」というシンプルなプロンプトで始めましたが、出力が汎用的すぎて使い物になりませんでした。プロンプトに自社の事業内容、顧客層、関心領域を詳しく含めることで、「自分ごと」として読めるレポートになりました。

学び3:GitHub Actionsは中小企業の味方

自動実行の仕組みとして最初はGAS(Google Apps Script)も検討しましたが、Pythonのライブラリエコシステムの豊富さからGitHub Actionsを選びました。無料枠が月2,000分あり、1日10分程度のジョブなら余裕で収まります。サーバー管理もセキュリティパッチの適用も不要です。

今後の拡張予定

現在のシステムはMVP(最小限の実用版)です。今後、以下の拡張を予定しています。

中小企業が「今日から」始められる3ステップ

「うちでもやりたいけどPythonは書けない…」という方も、段階的に始められます。

ステップ1:Google Alertsだけ設定する(5分)

Google Alertsで自社名、競合名、業界キーワードを登録するだけで、関連ニュースがメールで届くようになります。これだけでも手動チェックより効率的です。

ステップ2:ChatGPTやClaudeで手動要約する(1日15分)

Google Alertsで届いたニュースや、気になる記事をChatGPTやClaudeに「当社(○○業)にとっての示唆をまとめて」と依頼します。手動ですが、要約の質は高く、すぐに実感が得られます。

ステップ3:本記事のシステムで自動化する(構築3時間)

Pythonが書ける方(または外部に依頼できる方)なら、本記事で紹介したシステムは3時間で構築できます。コードはすべてオープンソースとして公開する予定です。

自動化は「ステップ3」から始めなくていい

多くの企業がいきなりシステム構築に走りますが、まずはステップ1と2で「どんな情報が本当に必要か」を見極めることをおすすめします。必要な情報が分かってからシステムを組む方が、はるかに実用的なものが作れます。

まとめ——AIは「使う側」に回ることが中小企業の最大の武器

大企業には専門の市場調査チームがあります。しかし中小企業には、AIという強力な味方がいます。月額1,000円とわずか3時間の構築で、大企業のリサーチチームに匹敵する情報収集体制を作ることができました。

当社がこのシステムを作った最大の理由は、「AI活用を支援する会社が、自分たちこそAIを使い倒していなければ説得力がない」という信念です。お客様に提案する前に、まず自分たちで試す。うまくいった方法を、自信を持ってお伝えする。それが当社のスタイルです。

「自社でもAIを使った業務自動化に取り組みたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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